「健……モガッ!!!」
大きな声で呼ぼうとする未茉の口をBIG3の三人が一斉に塞ぐ。
何すんだよ!!?
と言いたい口を塞ぎズルズルと引きずりながらリハビリステーションの前から立ち退いた。
「ぷはぁー!!!っーか!!!なんだよ!!何すんだよ!!?」
和希の病室へ戻ってくると、ようやく塞がれた口元が解放され未茉はみんなを睨む。
「和希君、大丈夫?」
「ああ、へーき」
ベッドへと翔真はゆっくりと抱えあげた和希を戻し体勢を整えてあげてると、
「俺の見舞いだけでわざわざ王子から毎日くるわけねーだろ。姉ちゃんやっぱ気づいてなかったのかよ。」
「え、毎日来てたの?」
それは初耳の翔真も驚くと和希は頷いた。
「王子のあのハードな練習終わってこっち来てリハビリして俺んとこ来て終電で帰ってたんだと思う。多分めちゃめちゃハードだぜ。」
「責任感つぇーから心配で来てたのかと思ってた……」
意外な事実に漠然とする未茉はハッと気づき、
「じゃ健兄の手、相当悪いってこと!?」
「普通に考えてそうだろ。でも言ったら選ばれなくなるから内密にして国体に少しでもでようとしてんじゃねーの?わかんねーけど。」
後ろ姿でも分かる痛みと闘う気迫溢れる眼差しと殺気立ったようなリハビリ姿を見て、全身全霊を賭けて追い込みをかけてるのが三人にも伝わってきていた。
健のバスケに賭けるプライドが。
まるで触れてはいけない領域に立ち入ってしまったような、見てはいけないものを見てしまったようで呼び掛けようとした未茉の口を三人はとっさに塞いだのであった。



