「セーフじゃねぇだろっ!!!おめぇは怪我人の弟連れ回して何やってんだ!!」
目の前では結城にぶちギレられ、
「うおっ!BIG3じゃん!なぜにここへ・・」
我に返った未茉は部活帰りの三人を見ながら尋ねると、
「久々に見舞いに行こーってなって来てみたらお前らがここでバカみてぇにはしゃいでるからよ!焦ったろっ!!」
「……久々に外でたらなんか感動しちまって」
そう溜まりに溜まっていたうっぷんが晴れたような顔で言う和希の表情を見た翔真は、
「三上、ボール持ってたよな?」
「え、うん。」
「借りていい?」
「ああ。もちろん。」
バッグから取り出したバスケットボールを和希に手渡した。
「少しだけ床についてみなよ。」
そう翔真が微笑むと、和希は久しぶりに触れるボールの感触を手のひらで確かめるように転がす。
「あ……」
指先からじわりじわりと感じるボールを回す感触を懐かしむように触り、
……トンッ……とボールを床にバウンドさせてみせた。
久々に聞いた床をつくボールの音と自分の手首の感触に全身の血液が巡ったように鳥肌がたち、震えた。
「和希ぃ……」
弟の感極まる表情からその喜びと懐かしみが伝わる未茉の目からも涙が頬を伝っていた。
ダンッ……ダンダンッ……
久しぶりのドリブル音は弱々しく響いたが和希は少しずつ力を入れて確かめるように何度も何度もバウンドさせ、
「うわー……すげー」
目に涙を浮かべながら今この瞬間を噛み締める和希は、
「早くバスケしてぇなぁ…」
泣き笑いを悔しそうにしながら呟いた。



