「何やってんだよどんくせー奴だな・・・。ほら保健室行くぞ。」
こういう時の頼みのキタローが調理部の文化祭準備に行ってしまってる為、未茉は「いてぇ」と喚く結城を引っ張りながら教室を出ていく。

「やっぱり・・・湊は桜蘭の子と・・・」
「ああ。他のクラスの奴らが言っててまさかなとは思ったが…」
「白石があの調子だから、湊優しいから断れねーんじゃねーの?」

一気に飛び交うクラスの連中の勝手な想像に三上は顔をひきつらせ、
(なんかやばい方向に向かってるな・・・。大丈夫か・・?)と心配しているところへ、

「あれ?なんか盛り上がってる?」

翔真がクラスに戻ってくると、クラスメイト達は歯切れ悪そうに一斉に作業に戻ってく。
「さ・・さっさと終わらしちまおーぜ!!」
「お・・おうっ!!」

「?」
なんとなく違和感のある教室の空気に首を傾げる翔真は辺りを見渡し、
「あれ未茉ちゃんは?」
「結城を連れて保健室。」
「え、怪我?」
「あーまぁ大したことないと思うよ。」
(……それよりこっちの空気の方が気になるな。)
ただでさえ微妙な二人の関係に周りからおかしくならなきゃいいな……と三上はため息ついた。