「逆に普通に考えりゃダチなんだからお前もそんくらい分かんだろ。翔真がそんなことするような奴じゃないって。」
ネジを口にくわえてトンカチで叩きながら作業する未茉は強がりでもなんでもなく100%の絶大なる信頼をおいてそう答えてるのが結城にも分かった。
「分かってるけど人間ならつい疑っちまうだろ…」
「少しでも疑うってことはそれは本当の信頼じゃねーだろ。よしっ、いっちょあがり!」
トンカチを片手で振り回し立ち上がる。
「……じゃーもし仮に」
「あっ!?なんだよまだ信用できねぇのかよ?」
忙しいのに隣でぐちぐち言う結城を睨むと、
「翔真がお前を裏切って他の女と付き合ったらどうすんの?」
「だからしねーって!!!しつけー!アホか」
「だからもしもっだっつーの!!お前が健さんとの間をフラフラして翔真が愛想つかしたらの話だ!!」
「そんなもしも話聞きてぇなんてお前病んでんぞ。お前の彼女はろくな女じゃねーな。」
「・・・まぁ否定はしねぇーよ。」
「ははっ!しねーんかいっ!!でもまぁ、アイツがユリのことを選んだ時点で、すげー本気なんだろうけど。」
少し笑った後、凛とした瞳で頷くも…
「アイツがあたしにしてくれてるように、アイツが誰を好きでもぜってぇ諦めないぜ。自分のモノにするまでなっ!」
それはそれで面白そうだと自信満々に未茉はニカッと歯を見せて微笑む。
「・・・すげー肉食系・・。」
結城はそうひきつるも、少し見直したように安心したのであった。
(心のどっかで白石は実はそんなに翔真のこと好きじゃねーんじゃないかと思ってたけど。ちげーんだな。
一点の曇もないくらいに信じれるから好きになったのか…すげーわ。ないわ。)
「お待たせ。悪い。」
そこへ何も知らない結城が走って戻ってくると、
「お前の好きな女はとてつもない女だぜ・・・」
心配して損したと結城は翔真の背中を叩きながらため息つくと、
「うん?だから好きになったんだよ。」
さらりと答える翔真に、
「あーはいはい。」と流すのであった。



