「ち…ちげーよ!馬鹿っ!あれは噂だよっ!!」
急に結城が慌てて中に入り、女の子達を黙らすと、
「あたし翔真からそんな話聞いてねぇし、あたしのこと好きだって言ってるけど。」
本人の言葉しか信じない至って冷静な未茉に
「えーっ!?じゃ白石さんにはそう嘘ついてるってこと!?」

「嘘って翔真がぁ?」

「騙されてるよそれっ!!!」
「多分白石さんに飽きて前園さんに乗り換えたんだから!!だってここ毎日ずっと一緒にーー」

「白石っ!!」
突然結城が話を遮るように大声で未茉の名前を呼んで腕を引っ張り、
「翔真と交代してやれよっ!早く行くぞ!!」
その場から連れ出そうとする。
「分かったよ!!もー!引っ張るなよー!!」
引きずられるようにして体育館を出ていった。


「おーっす!!翔真ー!!わりぃなっ!!」
多目的ホールには朝から文化祭の小道具班と衣装班が着々と準備を進めていて、未茉が到着すると、

「おはよ。大丈夫だよ結構楽しんでる。」
男子達と小道具を作りながら翔真は気にさせないような笑顔を向けてくれる。

「すげーっ!!これ隠れる小屋?本格的じゃん!!あははっ」
「そう!結構力作」
「あたしもやりてぇーどうやんの?」
二人で小屋を見ながら指差して笑ってる姿を結城が見ながら作業をしていた三上を手招きして呼んだ。

「白石にバレたかも。前園がここんとこ来てること。」
「……まぁ、早かれ遅かれバレるとは思うけどな。」
少しひやっとした表情を浮かべてると、
「翔真!隣のクラスの女子が呼んでるぜ。」
未茉と一緒にいた翔真はクラスの男子に呼び出されて、廊下に出ていってしまった。