「意識してんの?」

すると、彼の意地悪で低い声が耳に届く。
からかわれていると分かっているのに素直に赤くなってしまうと、掴んでいた腕の位置を少しずつゆっくり手のひらに移動させて、ギュッと細くて長い大きな手を絡み合わせてきた。


ーーがちゃんっ!!!

「「ん?」」
トレーが床に散らばる音が聞こえたのと同時に、

「しっ…白石さんっ!!?」

背後から聞き覚えのある声に未茉は驚いて振り返ると、
「あ、相沢さん達!!」
一年の女子バスの相沢さん達がぞろぞろ入ってきて、王子のイケメンエースとくっつき合う姿を目撃し驚きのあまりトレーを落としてしまい、
「あわわわわ…………」
見てはいけないものを見てしまったと混乱するも、
「「ハッ!!!」」
数秒して我に返り二人が手を繋いでいる決定的瞬間を目の当たりにし、みんなは顔を一斉に赤らめ、
「いっ・・いいの!続けて・・」
「うん!!続けて!!!」
さあさあっ!となぜか手で煽られながらみんな後ろ歩きに下がってく。
「はっ??」
ぽかんっとする未茉から逃げるように去っていき、
「「「きゃぁあああ!!見た?見た?」」」
彼女達がお店の外に出た途端騒いでるのが見て聞こえ、

「・・なんだあれ・・」

呆れてると、健の手は未茉からまだ離れてなかった。

「なぁ、片手じゃ食べらんないだろ!もー離せって。」
「じゃ両手繋いでやる。」
健はもう片方の手も無理矢理繋いできて、
「くぅっ!!」
力を入れて振りほどこうとするもびくともせず、
「ははっ!頑張れ。」
「このっやろぉ!!」
力入れて真っ赤な顔のおでこをくっつけてぐぐっ……ともがく未茉を楽しんでどこか癒されるように健は見て笑っていた。