「チアガール?」
病院を出ると止まらない腹の虫に答える為、未茉を駅前のファーストフードに連れてきた健。
「そーマジ超だりぃー。」
大口あけながら口一杯頬張る未茉に
「それ完全、斎藤の趣味なんじゃねーの。」
「間違いねーよ!アイツSNSでバズることしか考えてねーもん!!あ!そうだ!!」
鞄の中をがさごそとあさり、クチャクチャに丸まったチケットを出し、
「はいっ!健兄もよかったら来てよ!!」
「お前の鞄の中身なんだそりゃ。マジきったねー。」
チケットよりもなんでも放りこむそのバッグに目がいくも、
「うっせぇーな!鞄なんかどうでもいんだよ!」
「チアか。どんな感じなの?」
「動画あるよ!」
スマホを取りだし男子達に撮影してもらった動画を再生すると、
「お、意外と本格的じゃん。」
「だろ?あたし意外とうまくね?」
「まあまあだな。」
「あんだよ!それっ!!」
笑ってからかう健の背中を未茉は叩くと、
「いてぇって!」
「あはははっ!」
健がその手を掴んで取り上げると、不意に目と目が合う。
……
気づくと画面を覗きこんでた互いの顔がすぐ近くにあることに気づいた。
「……!」
幼い頃から一番近くにあった顔。昔はピッタリくっついてテレビ見たりすんのがむしろ普通だったのに、
「どこ見ていーかわかんねぇー・・・。」
「こっちだろ。」
気持ちを知ってしまうと、全ての行為に意味があるように思え困る未茉に強い口調で調教してくるようにも聞こえてくる。
「こっち見ろよ。」
「……」
好きだと言われてからは、合宿の時みたいに急にマジな顔で見つめてくるから、見つめ返してはいけないような気がして健の試すように落とす強い視線から目をそらしてしまう。



