「おーっ!!姉ちゃん!」

「・・・おー。」
疲れ果てフラフラになり壁を伝い歩きしながら和希の病室にやってくる。

「なんだよ姉ちゃん・・疲れてんならそんな無理してくることねぇーのに。母ちゃんから聞いたぜ?文化祭で忙しいって。」

「おー。だから瑞希の飯はママにお願いしてあたしが面会時間終わりまでこっちにいることにしたよ。」
「いいーって別に。子供じゃねーんだから。」
「寂しいだろーよ。こんなとこで一人じゃ!!お化けでも出たらどーすんだよ。」
「いや・・出ねぇーし。」
「無理すんなよ。化け物がでねーように貼っておけってキタローからお札預かってきたぜ。」
「お札って・・・余計こぇえよっ!!」


和希はまだ腫れと痛みは治まらないが点滴がよく効いてるのか穏やかな様子だった。
「意外と寂しくねーよ俺。健兄も……」と言いかけるも聞いちゃいないマイペースな姉は、

「あ、和希お前裁縫得意か?」
「は?まぁ・・姉ちゃんよりは?」
「おっ。じゃ手伝えっ!!」
バサッ!とハンターの衣装生地と裁縫道具を取りだし押し付ける。

「はぁっ!?マジふざけんなバカ姉貴!!」
「いいじゃんいいじゃん!姉を助けると思ってさぁ~~なぁ……」


・・・・二時間後。

コンコンッ。
「和希、入るぞー」
返事がないので扉を開くと、
ぐがぁぁあああっ・・・
「?」
和希にしては珍しくいびきが聞こえてくるので足音を立てずにそっと健は入ってくと、

「・・いびきはお前か。」

その正体が未茉であることに気づくも、
「なんだこりゃ。」
散らばる布切れを見るも、裁縫しながら姉弟仲睦まじく寄り添いながら寝てしまっている姿に健はため息つきながら微笑み、

「よいっしょ。」

椅子に座り、肘をつきながら二人の髪を撫でた。

兄としてずっと見守ってきたその寝顔に癒されるように面会時間が終わるまで見つめることにした。