「はぁあっ!!?文化祭の実行役員!?」
「イェッサー・・」
放課後の練習ではシクシクと涙を流す未茉に前原と矢野は絶句している。
「頭痛・・。っーかなんでこう次から次へと存在が面倒なの!」
「酷・・・ッ!!!」

「チアの練習は仕方ないとして、じゃもーとりあえず女バスの準備はいいから国体練習しな。」
「やれることはやるぜ・・・・。」
小さく返事をする未茉の背後体育館の入り口から、

「こんにちはー!」

聞き覚えのある声に振り向くと、
「あっ!神崎監督っ!!!」
「「監督ぅ??」」
未茉の言葉に女バスのみんなは振り向いた。
「あれ…確か桜蘭の」

「監督どうしたんすかっ!?」
駆け寄ってくる未茉に一瞬複雑な思いを寄せ顔を強ばらせるも、すぐに監督としての顔に戻り、

「視察。国体の追加招集。」

ニッと微笑みながら二年の女子達を見た。


「それって私達にもチャンスあるってことですか?」
矢野と前原は思いがけない願ってもいない展開に期待した。
「そう。空きも出たし。明徳は白石を中心によく回ってるし普段から連携とれるサブは欲しいからね。」
顔を見合わせて喜ぶ二年をよそに未茉は空きが出たという言葉が引っ掛かっていた。


「空きが出たっつーのは?」

「……前園が辞めた。」
「え?!!」
その言葉に隣のコートにいる翔真の元へ走った。

「おいっ翔真!!なんでユリ止めなかったんだよ!?」
「未茉ちゃ…」
練習中に勢いよくコートに入ってきて突然掴みかかられ驚くも、

「なんで?お前に止めてもらいたかったんだろ?」
「止める権利なんかないよ俺に。」
「だって話聞いてたじゃん!!説得する為じゃなかったのかよ!?」
「でも最終的に決めるのは本人だよ。」
「……!」

「バスケをするのは自分なんだから。」

少し冷たい目で真っ直ぐと伝えられ、未茉はそれ以上何も言えなくなった。