(経験の差だけはどうにもならない。素質がある分、これをものにできたらって…神崎さんもあんだけ熱意持って教えてんだろうな。)

期待されてる証拠だぜ。と健は薄ら笑いを浮かべるも、ユリの横顔はどこか曇っていた。

そして連携は取れていない分、所々のミスは目立ったが試合は代表スターティングメンバーの圧勝だった。


「よし、男子も試合するか。」

こちらも軽い腕試しだと言わんばかりに東京男子代表の工藤監督は立ち上がるも、もうすでにマイクにみっちりしごかれた翔真は嫌な顔していた。

「健兄、間に合いそう?」

やはりここでも審判役を任された健の怪我を心配する未茉に、
「予選はこのメンツなら俺抜きでも負けねーし、本選には全然間に合うから大丈夫。」
「っとによー!!まさか不破にヤられたとはなっ!!今度会ったらやっぱりボコボコにしてやる!」
「ぶっははっ!そりゃ頼もしいや!頼むよ。」

「あたし、健兄と翔真のコンビ見てぇな。」
バスケットIQの高い二人が、手を組んだとこを見たかったのだ。

「バーカ。湊が俺の足手まといになるからお前の恋冷めてもしんねーぜ?」
「あははっ!健兄の足手まといになるくらいの男なら冷めて当然だな!」
未茉が笑いながら言ってると、

「こら、誰が足手まといだって?」

後ろからやってきた不機嫌極まりない翔真にコツンとおでこを軽く叩かれると、未茉は見上げて笑った。