「イチゴメロンパン!!お前も食うか?」
「イチゴ…メロン…??初めて聞いた…」
それって一体結局どっちの味なんだ?とおっとりと首を傾げる翔真。

「白石がメロンパンかイチゴパンどっちを食べるかで悩んでた時に一度で二味楽しめるパンがいいっていうから作ってみたんだ。よってこの素晴らしい賞は白石のものなんだ。」

「・・・そんな意味の分からないワガママ作を作れる北が凄いよ。」
三上は冷静にそう称えた。

「あ、うまい。」
眠たそうに肘つきながらも翔真は未茉が差し出すパンをパクリと口にすると頷いた。


「フラれたくせにあんな側を陣取られちゃ手も足も出せないじゃん!」
「白石さんマジ邪魔なんだけど!」
噂を嗅ぎ付けた翔真狙いの他のクラスの女子が教室を覗きに来ているのを結城は横目に見てひきつっているも、

「まー、お前が他に行くことはねーだろうから安心だろーけどよ。」
「ん?何なんの話?」
「・・おめぇらの話だよ。」
鈍感な二人にイラっとしていると、新米斎藤が入ってきて
「おら~席につけぇ~!」
慌ただしく生徒達は席に着いていく。

「結城食う?目からうろこでるくれぇうめぇよ!」
「・・いらねーよ!翔真の食いかけなんか。」
「ひゃっはははっ!!」
目に焼き付くような笑顔をすぐ後ろの席の翔真は、くるくると変わる彼女の愛くるしい表情を目に映しては幸せそうに瞬きすら惜しむように見つめていた。

隣の席の三上はそんな翔真の姿を見て、
「翔真。」
「ん?」

「見とれすぎ。」

そう注意されると翔真は微笑んだ。