「聞いた?!白石さんが湊君を好きだって告白っ!!」

「聞いた聞いた!!」
「前から噂あっててっきり付き合ってると思ってたけど付き合ってなかったってこと!!?」
「それって湊君が白石さんを振ってるってこと!?」
「・・・てことは、」

「「湊は狙い目ってことじゃんっ!!!」」

新学期早々の告白に一年の校内の生徒達の気持ちは浮わついていて、翔真のフリー説に女子達は一気に期待が高まった。


「・・なんでそうなるんだか。」

晴れて校内では二人の邪魔をするものはいないと思いきや、三上はまさかの女子達の騒ぎに頭を抱えた。

「めっちゃくちゃうめぇ!これっ」
一方、フラれ者のレッテルを貼られた未茉はそんなこと気にも止めず相変わらず机の上に座り呑気にキタローの作ったパンを食べていて、

「すげぇーんだよ!!キタロー考案のパンが調理部で優勝して購買部で売り出すんだ!!!」

「へぇー。そりゃ凄い…!」
目を丸くして驚くも、あのハードなマネージャー業と調理部を両立できている器用さにも翔真は感心している。

「俺の考案というよりも…白石のリクエストで作ったメニューなんだ。」
そっと冷たい手作りココアを未茉に差し出しながら、今日も陰気漂うエプロン姿のキタローは控えめに頷いた。

((あの不気味さで料理…。))
((エプロンしてる…怖っ))
クラスメイト達はそのギャップすぎるいれ立ちに違和感しか感じず遠目から固唾を飲んで見ている。