「付き合ってる人いないんだよね?」
「いねーけど。」
「だったらまずは友達としてどっか行ったりしない?」
ザワザワッ……ちょうど休み時間も終わる頃で廊下は教室に戻る人で溢れ返っていたので、
「告白じゃん。」
「白石モテんなぁ~」
「インターハイや国体で有名人だもんな!動画や雑誌もすげぇアップされてるし、付き合えたらバズるな。」
新学期早々の大々的な告白に見物人で廊下は多く溢れ好奇の目が集まりやたらと注目を浴びていた。
「わりぃけど無理だな。好きになれねーと思うし。」
相手は顔もよく知らない隣のクラスの男子だった。
「相手引かないなー。めげずに押すな~」
見ていた結城と三上も他人事のように教室の窓から顔を出し、廊下を覗きこみながら見てる。
「めんどくせーから翔真と付き合ってるっちゃえばいーのにな。」
二人が頷いてると、
「好きな人がいるの?」
「いるよ。」
はっきりと即答した未茉は廊下のずっと奥を真っ直ぐに指差して言った。
「アイツ。」
「…え…?」
男も外野もみんな未茉が指差す方を振り返り見た。
「さっきあたしにゴール決めた奴。」
人波を避けて走ってこっちに向かってくる翔真を指差してフッと勝ち気な笑みを浮かべながら、
「あたしは湊翔真が好きだぜ。」
「「うおぉっ……!!」
外野が一斉にどよめくと、
「やるじゃん。白石。」
夏休み前よりは少し進展したような気がしてそれには結城も三上も満足そうに微笑んだ。