「てめぇ・・・」
「てめぇ?」
「あっいえ!殿!なんでございましょう?」
こめかみをピクピクとさせながら作り笑顔を向けると、
「うーん。何して貰うか考えようかな。」
そう言って翔真はノートを差し出した。
「やったぁっ!!」
ルンッ♪と目を輝かせながらノートを手にし寝そべりながらさっさと写しにかかった。


キーンコーン……

「あ、全校朝会サボりだな。」
鐘の音に長い足を伸ばしてフェンスに寄り掛かり、秋を感じる日差しを浴びながら黙々と写す未茉の姿を見つめていた。

時折吹く風が彼女の髪を靡かせて揺らしている。

ほぼ毎日顔を合わせているのに久々に見た制服姿。
その短いスカートからすらりと伸びる細い落ち着きのない足をバタつかせ肘をついてノートを交互に見ながらペンを進ませる彼女の横顔が今日も可愛らしく見えた。


「どうせお前の考えることなんか分かってる。水着になれとかだろ?」
書き写しながら未茉はそう予想している。

「なってくれるの?」
「なるわけねーだろ!グラビアアイドルじゃねーんだからっ!」
「じゃ返して。」
「なりますなります!グラドルに!」
「あはははっ。」

「そーか。最初に写して後から無理難題を押し付けるパターンだなっ!」
「そう。バレた?」
「げー。それ最悪じゃん。」
パラッと紙を捲りながらさほど最悪そうな表情ではない彼女の隣に同じ姿で肩を並べてスマホを出した。

「なんだよ。写メ?」
「一生懸命写す姿が可愛いなと思って。」
「だろ?じゃこれが礼ってことで。」
「ダメ。」
ツーンとまた意地悪にそっぽ向く翔真が顔を戻した時に未茉はキスしようと顔を近づけると、
「キスじゃすまさない。」
「えー!!」
頬を膨らませふて腐れる未茉は、
「結局水着かよ。」
「いや?」
笑顔で翔真は首を振った。