「やだぁー綾乃さんったらぁそんなとこに立ってないで入って!さぁっ入ってぇ!!」
そこへ未茉母がバタバタと廊下からかけてきて、気まずそうに立ちすくむ女性を病室へと招き入れる。


「母ちゃん、この人誰?」
とりあえず袋とじから出てきた幻じゃないことを確認すると、
「和希♡あなたのお姉さんになる人よ。」
にっこりと微笑む母に、
「は・・・?」
唐突に何を言い出すのかとワケわからず目をぱちくりさせてると、


「神崎綾乃さん。お兄ちゃんの婚約者ですって。」

「……!」
「は…初めまして。私お兄さんと交際させて頂いております神崎綾乃と申します。」

躊躇いがちに中へ入ると緊張交じりの挨拶をし和希に花束を差し出すと、
「綺麗な方よねぇ?!ママも嬉しくってぇえ、昨日初対面でね、わざわざ和希のお見舞いに一人で来てくださってね~~」
ペラペラと嬉しそうに話し出す母に和希は受け取った花束を見つめ、
「私もバスケずっとやってたから詳しいの。怪我もいっぱいしたし、だからもし何かあったらーー」
そう言いかけた時、和希は今出せるめいいっぱいの力を振り絞り、

ーーーバサッ!!!

花束を片手で振り散らし神崎を目掛けて投げつけた。