「うん。おいで。」

少し驚くもそうゆっくり微笑んで両手を軽く広げると、
「お前が来い。」
「・・・。」
命令口調に一瞬ひきつるも、駆け寄ってきた翔真は、彼女の靴がふわりと床きら離れ抱き上げるように持ち上げると自分の胸の中にしまいこむ。

その瞬間、未茉はゆっくりと瞼を閉じた。

大きな体の中へ抱き寄せられた瞬間、翔真の匂いと温もりでいっぱいになった未茉は体を埋めるように抱きついた。

「…どうしたの?」
「分かんねー。」
「……」
「離れると思ったら急に翔真の中にいたくなった。」
むぎゅっと甘えるように力一杯抱きつく彼女に翔真は驚くも微笑みが溢れ、

「…じゃ離れない。」
「いやいーよ。お前は早く宿題終わらせて写させろ。」

「・・・。」



「……翔真!」
家に戻ってきた時、ちょうどユリが出ていく所だった。
「なんだ。白石んとこに行ったんじゃないんだ?」
ホッとしたような表情で見上げるユリに、

「ユリ。話ならいくらでも聞くから悪いけどうちに来るのはもうなしにしてもらってもいい?」

「白石になにか言われた?」
「まさか。そうじゃないよ。」
「じゃ翔真が嫌だってことだ?」
「未茉ちゃんに勘違いされたくはないんだ。」
「分かった。じゃまたね。」

少しだけ荒々しい態度でユリは出ていくと、
「・・・諦めのわりー女だなぁ・・。」
部屋から覗いていた結城が苦笑いしながら出てきた。


「あれ?いたっけ。」

すっかり存在を忘れていた二人を見ながらすっとぼけの翔真に
「いただろーっがっ!!!」
すぐに結城がキレながら突っ込む・・・・。