「翔真ーちょっとバター買いに行ってくるわね。」
「うん。」
一時間程するとケーキの材料が足りないと買い足しに行く翔真母の扉越しの声に
「ケーキ楽しみだなぁ~るんるんっ♪」
「腹立つ奴だなぁ~お前」
むふっと笑みを浮かべながらせっせと着々に宿題を写していく未茉を睨む結城。
もう終わらせてバスケ動画を見ながら寛ぐ三上に、あと数問で終わるのに机に肘ついて居眠りする翔真。
ピーンポーンッ。
「はにゃ!誰か来た!」
そんな時に訪れた来客のチャイム音に未茉はピタッと手を止めて部屋を出る。
「おい勝手に出たらまずいだろ。翔真!おい誰か来たぞ起きろー。」
三上が揺するも起きるどころか、テーブルに頭をつけて完全に深い眠りに落ちている。
「翔真ー!!ユリ来たぜ!」
「「!!?」」
急ぎ足で戻ってくる未茉に二人は顔を見合わせビビる。
「また来たのかよ・・」
タイミングの悪さに思わず口を滑らせた結城に、
「おいっ!」
三上がすかさず突っこむと、慌てて口を押さえる。
「また?ユリよく来るの?」
「あ・・・いやちげーちげー!」
不自然な程めいいっぱい手を振りごまかそうとするが、ハッと我に返り
「なぜこんな悪女に俺が嘘の片棒を担がねばならない・・!!?」
とっさに出た許しがたい自らの行動に結城は我に返る。
「で、白石どうしたの?前園さん入れたの?」
「入れたよ。」
「「!!?」」
平然と答える未茉に二人は驚く。
「しゅ・・・修羅場か・・!?」
ゴクッと息を飲み言い知れぬ不安が二人を襲う。
「こんにちはー。」
玄関からは同じ女とは思えない程の可愛らしい女の声の挨拶が響いた。