翔真の家に着くとおばさんが未茉を見るなり、嬉しそうに出迎えてくれた。
「あら!!未茉ちゃんじゃないっ!!まぁー嬉しい!来てくれるの待ってたの!上がって上がって!」
「わぁーいっ!嬉しいなぁあ!!あたしもおばさんのケーキ食べたかったぁー!!!」
「あらぁー♪じゃ腕によりをかけて作っちゃおかしらっ」
「わぁーいっ!!!いやぁほぉおーいっ!!」
跳び跳ねて未茉は喜ぶも、その濡れた髪や服を見て
「みんなびしょ濡れじゃない!!傘は!?」
翔真母は慌てて人数分のタオルを手渡すと、
「置き傘で二本あったのに、こいつが壊したんですよ。」
結城は未茉を指差し舌打ちしながら言った。
「だってお前がレディーファーストしねぇからだろっ!!」
「してやってただろーよっ!!見てろよこのびしょ濡れの左肩をよっ!!」
傘の取り合いをして未茉がぶんどると、そのまま強風に煽られ傘は一本壊れ、
「しまいには一本の傘に四人で入って押しくら饅頭したらこうなった。」
「あらあらまぁっ。なんか楽しそうじゃない。」
活発な未茉を嫌がるでもなく翔真母は笑ってるのを見て、
「よかったな白石。お前のこと気に入ってるみたいだぞおばさん。」
「うん?」
普通の感覚なら間違いなくこんな落ち着きと協調性のない子が息子の彼女なら嫌だろうにと三上の皮肉にも気づかないでいると、
「未茉ちゃんシャワー浴びる?髪もびしょ濡れだし…」
翔真母は四人の中で一番異常に頭からズボンまでびしょ濡れの彼女を心配して聞くと、
「えっ!いいの?!」
「乾燥機かけちゃえば帰る頃には乾くしね。」
「わぁーいっ!翔真んちの風呂でかくてきれーそーっ!!♪」
「やだわー。そんなに大きくないわよ」
浮かれながら廊下を翔真母に風呂まで案内されて歩く彼女を見ながら、
「図々しい女だな・・ホント。」
結城が呆れてると、
「ああ・・。意外にも白石って親ウケするよな。うちの親もいい子だって誉めてたし。」
三上のその言葉を聞いた翔真は、
「あ、ダメだよ。未茉ちゃんは渡さないよ。」
「うん・・・いらないよ。」←断固拒否。



