ピーーッ!!

スピードに乗って行き交うバッシュ音や床を叩くドリブル音、体育館に響き渡るブザーの音を未茉は、目を閉じながら心地良さそうに聞いていた。

「どうしたの?」

柔らかく穏やかな翔真の声が聞こえて瞼を開ける。練習の休憩中、暑さと汗を冷ます為に体育館の外の日影に横になる未茉。

「んー……半年もバスケできないってどんな感じだろって思って。」
(一時間でも一日でもバスケやらないと落ち着かねぇのに。)

「……」
和希のことを考えてるのがすぐ分かり、翔真も腰をおろした。
「未茉ちゃん、顔にも髪にも砂ついてるよ。」
「へーき。地面は友達だから。」
「・・・そういう問題じゃなくて・・・」
タオルも何もひかず地べたに寝そべる彼女に呆れながら翔真はあぐらをかく自分の膝を軽く叩き、

「来る?」

「行く!」
すりすりと頭をすりよせて翔真の太股に頭をのっけ枕代わりにすると、大きな手で髪を撫でられると優しい視線で見下ろしてくれる目と目が通じあった。

「俺も昔アキレス腱やったな」

「え。そうなの!?」
「うん。痛かった…」
「痛くてもお前笑ってそうだけどな。」
「痛いときは痛いよ・・」
「あはははっ。」

「おーいっ!!お前ら・・・っーかなぜいちゃついてんだよ・・」
呼びに来た結城が二人の姿を見て呆れると、
「へ?話してるだけだけど。」
「うん。」
ぽけっと答えるぬけてる二人を見て、
(早く付き合えよ・・・マジで)と苛々するのを押さえながら、

「今日はこの後、5対5して終わりだって。雨だから大会前だから陸上部に体育館貸すんだと!」
「雨ぇ~~~??!!外でも練習できねーじゃん!!」
と空を見上げるとどんよりした雨雲からポツポツと雨が落ちてきた。