「さすがに清二さんも帰ってきて今雅代さんと医師と別室で手術について話し合ってるよ。」
「手術…」
和希の側に駆け寄りその手にそっと触れ優しく握ると、

「イッ……」

落ち着いて眠っていたのに寝返りをしようと足を動かしてしまい、痛みで目が覚めてしまったようだ。


「和希?!大丈夫?」

「ん……あ、姉ちゃん……?」
眠さから朦朧とする視界の中、痛みで目を覚まし、
「なんだ…今日は湊じゃなくて健兄と一緒か……どれが本命なんだか……」
ははっと力なく笑う弟の姿に、
「痛くても憎まれ口は叩くんだな。お前は」
「マジ、いてぇーよ……。」
「代わってやりてぇよ。」
悔しそうに涙ぐむ未茉が手をぎゅっと握るも、

「姉ちゃんじゃこの痛み耐えられねーから無理…。多分病院中の先生片っ端から殴りそー。」
「ははっ!それ間違いねぇーな。」
健は面白そうに笑った。
「うっせぇーな・・・お前ら。」
寝不足で目元には深いクマを作ってる和希は力なく笑いながら天井を見上げ、

「いてぇのは我慢できんだけど……バスケできねぇの我慢できねーな……。」

そう寂しそうな虚ろな目は、元気にバスケをするいつもの自分の姿を思い描いていたに違いない。

「なっ…何病人みてぇなこと言ってんだよ!!辛気くせぇーな!!すぐ治るよこんなのっ!!!」
ベシッ!未茉が和希の頭を叩くと、
「いってぇっ!!病人だぜっ俺!!?」
「あははっ!その元気ありゃ大丈夫だろっ!!」