「あっ。禅!?」
病院の正面入り口に入ると禅が目の前からやって来た。

「先輩…声デカ・・・」
待ち合い室の患者達が一斉にこっちを見るので、
「やっべぇー」と苦笑いしながら自分の口を塞いだ。

「今日も見舞いに来てくれたんだー?!さんきゅー!」
ばしっ!と背中を叩くも、禅は少し悲しげに視線を落とした。
「?」
「…悪化してます。」
そのたった一言に未茉は言い知れぬ不安を抱えたまま、病室へと駆け出した。

「和希!!!」

バタバタッと足音を立てて走ってきた未茉が病室の扉を勢いよく開くと、

「病院は走るんじゃねーよ。」

「え…!?健兄!!?」
眠る和希のベッドの横に健が座っていた。
「なんで?また来たの!?」
「終電前には帰るけどな。」
和希の頭を軽く撫でながら、険しい表情を浮かべていた。

「やっと寝ついたんだぜ?さっきまで痛くて寝れなくて点滴変えてもらって。」
「そんなに…?!」
左足を見ると包帯の上からも分かる腫れはやはり日に日に酷くなってくような気がした。