「おっかれさまでしたぁー!!」
「「おつかれー!」」
夕方に部活が終わりまだまだ練習したい気持ちを抑え体育館に響き渡る声で挨拶すると、
(おつかれ。)
と男バスのコートから翔真にアイコンタクトを送られると、
(おー!)
と未茉はガッツポーズをしながら体育館をそそくさと出ていった。

「白石が自主しないで帰るなんて珍しいな。あの練習の虫が。」
気になったのか前原が一年の相沢に聞くと、
「弟さんが入院して病院に行ったり下の弟さんの面倒見てるらしいですよ。」
「……へぇ。」

部室から急いで着替えて出て校門へ向かうと、
「あ~面会時間に間に合うかなぁー。この時間病院行きのバスすくねーんだよなぁ」
スマホで時計を見ながら走ってると、
「ん?」
校門前には見覚えのあるシルエットが立っていた。

「あ!!ユリ?!」

ハッと気づいたようにユリも振り向き、
「呼び捨てすんなって言ったでしょ・・?」
「あっ・・すみません。ユリさん。」
誰かを待っているかのように私服で校門につっ立っていた彼女に

「何してんの?」
「…翔真、待ってる。」
わざと未茉の反応を確かめるように意地悪な言い方をしてみるが、
「まーた翔真かよ・・・・。あいつまだ練習だぜ?」
呆れた声が返ってくる・・・

「うん。私服だし中入りずらいからここで待ってようと思って。昨日体育館まで行ったらお宅のキャプテンに睨まれたし。」
「そりゃーお前は明徳の宿敵だからな。」
「お前呼ばわりすんな・・!!」
「わわわ、いけねっ!時間ねーんだった!しゃーねーな!!呼んできてやるよ!ちょっと待ってろよ!!」
「えっ!」
ライバルからのまさかの助け船にユリは驚くも未茉は、もう走ってしまってった。