「翔真!」
先に一人で体育館に戻って早くもシュート練習をしていた翔真を三上は呼び止めた。
「悪い、余計なお世話だった?」
「え?いや全然。」
もう忘れていたのかバスケに入り込んでいた様子だった。
「昨日も体育館に前園さんが翔真を尋ねに来てたんだ。」
「うん。連絡あった。」
「白石と付き合ってれば前園さんも諦めるかなとも思ったんだよ。気を悪くさせてたらごめん。」
少し暗い表情を見せて謝る三上に、
「あはははっ!ちげーって!」
突然、翔真は笑い出すので驚くと、
「三上の気持ちすげー嬉しかったよ。いやーもー愛を感じた。」
「愛って・・」
「もどかしい思いさせてごめんな。」
「そこで謝るなよ。」
(本当に優しすぎる奴だな。)とため息ついた。
ダンダン……
片手で吸い付くようにボールを掴み、ヒュッ……と軽々とリングから真っ直ぐ垂直に真っ逆さまにボールを落とす。
見とれるくらい美しいシュートを放った翔真は、
「どうしたら自分だけを想ってみてくれるんだろうって。」
……ダンダン……
もて余すような気持ちをボールにぶつけながら静かにまたリングを見上げる。
「ただただ毎日それだばっか考えてる。バカみたいに。ワガママだよな。」
「そんなことないぜ。余計な口挟んで悪かった。」
「いや。幻でも未茉ちゃんの口から“付き合う!”が聞けてよかったよ。」
夢見れたなーといつものような笑顔のもどった翔真に安心するも、
「幻って・・・翔真。大丈夫か?」
「大丈夫。」
いつものようにふわっと微笑んで、片目を閉じて狙いを定めて真っ直ぐリングを見て、
「ウィンターカップは、王子も大成も下してうちが取るから。」
強い決意と共にシュートを放った。



