「あらぁ~翔真君まで来てくれたのぉ?!」

病室に着くとどことなく暗い表情だった未茉ママが翔真を見るなり嬉しそうに声をあげた。
「こんにちは。」
「国体見に行けなくて残念だったわぁ~」
いつもの調子で話すもどことなく元気なさそうに見えた。

「和希、寝てんの?」
「熱が下がらなくて…解熱剤打って貰ったんだけど……」
ぐったりとした表情で汗をかきながら和希は眠っていた。

「昨日より腫れてるじゃん……」

左膝を見ると明らかに昨日より腫れ上がってて見てるだけで痛みが伝わってくるようだった。

「少しでも動かすと泣いて痛がって寝ていても起きちゃって……寝返りも打てなくて」
「そんな!!ちゃんと医者に見せてんの!?ヤブなんじゃねーの!?痛みくらい薬でなんとかならねーのかよ!?」

「未茉ちゃん!和希君起きちゃうから。」
興奮する未茉を翔真は制止させる。
「パパがここのスポーツ外来はプロアスリートの怪我やリハビリに力入れてるからここがいいだろって…禅君のお父様も懸命に診てくれて…」
「でもよ」
「未茉ちゃんおばさんも疲れてるだろうから落ちついて。」
「……!ごめん。ママ……」
確かにやつれた横顔が目に映り我に返り冷静さを取り戻した。

「あのこれ和希君に渡して下さい。多分好きそうなゲームと本なので。」
翔真が母にお見舞いを渡すと、
「あらっ……わざわざ本当にありがとうー!!翔真君からなんて聞いたら喜ぶわぁー。」
「結城と三上と三人からです。」
「あらぁー!!絶対喜ぶわ~ママも元気出たわぁ~♡」
「なんでだよ・・・」
すかさず未茉が突っ込む。