「わぁーいっ!!!なんか久々の部活ぅー!!!」

次の日、未茉は張り切って一時間も早く明徳高校の体育館に到着すると
「あっ!!!」
相変わらず一番乗りのキタローが一人で黙々と入念に体育館整備をしていた。

「しっ… 白石…お…おおは……」
久々に会えることが嬉しく興奮で昨日は一睡もできなかったキタローは、目の下に作ったクマが更に不気味さを漂わせながら、緊張してうまく挨拶ができずにいる。

「きったろぉおおっっ!!!ひっさしぶりぃーーっ!!!」
ムギュッと勢いよく飛び付くように抱きつくと、
「〇♀¥△★₩℃●!……」
驚きのあまり真っ赤になり失神して倒れてしまった。

「あれ?どうしたの?」
「●★△℃₩¥★・・・・」
久々すぎて刺激が強かったキタローなのでした。


「あれ。白石?」
そこへすでに外周を終えた二年の前原達が戻ってきた。
「あっ!先輩達はやッ!!!おひさしぶりでーすっ!!」
ぶんぶんと両手を振りながら前原達の元へ挨拶に行くと、

「しばらく見なかったから辞めたかと思ったわー。」
「ほんとほんとー。」
相変わらずドライな矢野と前原コンビにチクリと嫌みを言われてズッコける未茉。
「そんなぁ~~~ひどいぃ~~~!!国体頑張ったのにっ!!」

「当たり前でしょ。」
「!」
「あんたは東京ナンバー2の明徳女子のエースなんだから。」

「前原さん……!!!」
その勝ち気な言い草に未茉はじーんっと胸を打たれるのも束の間、

「ま、来年はうちらがエースだろうけど。」
「そうそう。今年は後輩に華を持たしてやっただけだから。」
すぐに意地悪に睨まれ口を叩きながらさっさと練習を始める二人に、
「もー、素直じゃないんだからなぁ・・・」
と唇を尖らせるも、

「先輩どうぞ。」
「ありがとう北。」

キタローの用意したタオルやドリンクを受け取る二年達を見て、未茉の顔に笑みが溢れた。