「カッ・・・カラオケ!!!」

翔真に無理矢理手を引かれ連れてこられたのは、駅前のビルにあるカラオケBOXであった。

「しっ・・翔真殿はお歌が歌いたいんでござるなっ!!?お付き合いしますであるぞっ!」

受付を済ましスタスタと歩く翔真の後ろをせこせことゴマをすりながら腰の低い未茉が着いていく。

部屋に入ると翔真が二人分の大荷物を椅子に置くと、

「うぉおおおっー!!!カラオケひっさしぶりー!!!中学の卒業式以来だなぁー!!!」
ブラックライトが光り部屋の壁に絵が浮き上がり、七色の光りが回るミラーボールを見ながら、未茉は興奮気味にソファーの上に立ち高く飛び跳ねると、

「ハッ!」
背後からの冷たい視線が突き刺さり、ピタッと動きが止まり
「あ・・翔真殿っ!お・・お飲み物はいかがなさるであるか・・?」

「いらないでござる。」

ソファーに座り長い足を組んでしらっと答える態度に、
「じゃっ・・せっかくですのでぜひお歌をお聞かせくださいでござるっ!!拙者、こう見えてもデンモクの取り扱いには手慣れたものであるぞ。」

「大丈夫でござる。」
「ま・・まぁ、そう言わずにここは景気づけに一曲いかがでござるか??」
デンモクを差し出しながら、翔真のご機嫌を整えるように誘うも、

「カラオケに来たのは、ここなら二人でちゃんと落ち着いて離せるかなと思ったから。」

「ハッ・・・ははぁ~~!!!!さっ…さようでござるかっ!」
未茉は小さくなり、床に正座をし始めた。