「…早乙女。お前も戻って練習だろ。行くぞ」
それを見ていたマイクは、早乙女を呼び寄せた。

「…分かりました。」
残念そうーーというよりは少し悔しそうに視線を落としながら返事をし、
「白石さん、またね。」
「あ、うん!早乙女またなっ!!」
いくら鈍い未茉でも彼のそのやるせなそうな思いが伝わってきて消えるように立ち去る彼に少しだけ胸を痛めた。


「…」

しばらくすると立ち止まり背を向け肩を震わす早乙女の元にマイクが背後からやって来ると、
「早乙女…」

堪えていたのか真っ赤になっていた彼の目には涙が滲んでいた。

そんな後輩の悔しさと憤りが伝わってきたマイクは、

「まずは東京ベスト5に選ばれろ。」
「…!」
「白石を口説くのはそれからでも遅くはない。」


同世代に桐生、湊、三上、結城、二階堂という目の前に立ちはだかる大型プレーヤーと競争していかなければ勝ち目はない。
マイクの自分を思うが故に出た言葉だと言うことが伝わってきた。


ポンッ…優しく支えるように肩を叩かれると、
「いつか俺も健を越える。だからお前も湊を越えるんだ。」
「マイクさん…!」

「…はい。」

自分を信じて見守ってくれてることに、涙を脱ぐって早乙女は深く頷き、焦る心を抑え前を見据えた。


「くぅ・・・・」
そして誰もいなくなってしまった辺りをキョロキョロ見回して未茉はニコォッと微笑み、
「帰るでござるっ!!!」
サッと走り去ろうとすると、

「ダメでござる。」

ガシッと掴まれて結局翔真に引きづられていく未茉なのであった。
「ぬぁぁああああぁ~~~~!!!!!ヘルプミー!!!」