そして男子は関東予選大会一番の強敵である千葉を東京が激闘の末に下し、男女共に来月に控える国体への切符を手に入れたのだ。

「東京が優勝候補のKING嵐率いる福岡と戦うことになったら楽しみだなぁ。」
今からその接戦を楽しみにする記者達が試合後の東京男子達の様子を撮影してると、

「「きゃぁあああああっ!!」」
「健さんっ!写真とらせてぇっ!!」
「健さんっ!!これ受け取って下さいっ!!」
物凄い数のファンの女の子達が更衣室へと向かう東京の男子達の元へと駆けより囲まれている。

「アイドルか・・・ありゃ。」
神崎監督が呆れたように見てると、小倉記者も頷きながらその光景を見て、

「東京は星河君を筆頭に美男子だらけだからねぇ~。今から日本のプロチームからもオファーあるらしいですね。彼。」
「イケメンでバスケがうまいっていうだけで欲しいからね~。CMの依頼とかも来てるらしいけど断ってるみたいよ。華やかな外見のわりに内面めんどくさがりですからね健は。」


「東京女子では田島さんも人気だけど白石さんが一番大人気!あっ、ほら。」
やっぱりね。と小倉記者が指差すと、入り口では全国各地から会場まで会いに来た人達に囲まれている。

「白石さんっ!!インターハイの予選の神動画を見て大ファンになってここまで試合見に来ました!!握手してください!!」
「わぁ~~~ありがとっ!照れるなぁっ!!」
試合とは全く別人でデレっとする未茉を見ながら神崎監督に小倉は気になっていたことを尋ねた。


「同じ兄弟でも颯希君のことは白石清二の息子として大々的にサラブレッドとして公表してるのになんで未茉君に関しては隠すんです?」

「………私、実は颯希君に家族のことあんまり聞けなくて。」
「えっ?!」
意外な返答に小倉記者は目を丸くして驚いた。
「颯希君、白石のことも家族のことも一切触れたがんないんです。多分結婚のこともご家族は知らないかもしれません。」
鬼監督とは別人の女の顔を覗かせる横顔に、バスケ界切っての名高い白石家の一族に纏わる闇が見え隠れした。