「静香ーっ!!バスケ相撲しよーぜっ!!」
「ええよっ!吹き飛ばしたるでっ!!」
ゴールラインの下でドリブルをつきながら押し合う二人を見る田島には高校生最後の国体で優勝をしたいという野心を抱えていたのだ。
(高さとゴール前の強さを合わせ持つ東京トップクラスの絶対的要、180cm台の石井と静香は全国でもこの高さでこの上手さを持つ者は愛知以外にはいないだろう。)
「二人のそれ見るの懐かしいなぁ。」
ボールを取りに目の前を懐かしげに微笑みながら通過する匠に
「ハッ!!あかんっ!!」
「ふぎゃっ!!」
急に押すのをやめて直立してしまった静香のせいで倒れる未茉。
「どなんしよう・・・。あかん。姿を見るだけで胸のドキドキが止まらへん。罪やわ・・」
何言っちゃってんだ・・アイツは・・・。と静香を見て口元をひきつらせながら田島は次はユリに視線を向けた。
(そして170cm台ながらも抜群の身体能力とジャンプ力とリバウンド力を誇る前園ユリ。)
「あ、翔真水筒取って。」
「はい。」
「ありがと!」
ユリがベンチサイドにいた翔真から水筒を受けとると、そのやりとりが目に入った未茉は、
「お前の彼女の時代は終わったんだから、あたしの前で彼女面すんなよな!!このっこのっ!」
馴れ馴れしく翔真と呼ぶユリのほっぺを両手で頬をムギュッと押し掴む。
「いっひゃぁあああいっ!!」



