「どんどん降りてー!すぐアップするから着替えて準備しろー!!!」
会場に到着すると神崎監督がバスから降りてくる部員達にそう呼び掛けさっさと移動させるも、
「未茉ちゃん。」
降りて来る未茉を待ち伏せするかのように翔真が現れ、
「しょっ・・・!!!?」
ズルッと段差で足を踏み外し転びそうになる・・。
「何してんの・・。」
明らかに覚束無い様子の彼女に呆れたように翔真は倒れそうになる未茉の腕を持上げてると、
「うっわぁぁぁあああっ!!!」
大嘘をついた罪悪感からいてもたってもいられずに思わず大声をあげて目をそらすと、
「そんなに俺には言えない悪いことしたんだ・・・」
当然こういう勘の鋭い翔真はその様子に気づくと、ハッと未茉は凍りつく・・・。
「ほらそんなとこでつったんてんな。邪魔だろ。」
そこへバスから降りてきた健が何食わぬ顔で平然と通りすぎようとすると、
「あ、」
急に足を止めて振り返りこちらを見て
「あれ、未茉お前ここどうしたの?」
首筋に貼ってあるバンソコウを指さして白々しい笑みを浮かべ尋ねてくる。
「!!」
ピキッ・・・と更に凍りつく未茉の反応を面白がり意地悪そうに‘べぇーっ’と舌を出して二人を残してさっさと健は会場に入ってく。
「首……」
凍りつく未茉の首筋を翔真が覗きこむように見ると、
「ハッ!!!」
勢いよく手で首元を覆い隠し、
「あ・・・あぁ~~~ねっ・・寝違えたなぁ~~~」
明後日の方向を見ながら肩を振り回し未茉はさっさと会場へと逃げるように走り去っていったのであった。



