「……ッ」
赤く色づく頬、じっと見つめる潤んだ目、濡れた唇。
その時、何かの糸が切れた。
彼の強引な唇が口火をきったようにそっと激しく押し寄せてきた。
健への想いをどうしていいのか分からなかったのに、確かに望んでいたのは自分だった。
チュパッ……とリップ音が何度も何度も、自分の耳に届くと、恥ずかしくなってきつく瞼を閉じるが未茉の頬も体も熱を帯びてく。
「……未茉」
低く、響く。声も、想いも。
今までもて余していた彼の想いが唇から伝わってくるような、翔真を想っていた気持ちも全部奪われてくような…
迷い戸惑う舌に絡められると、ほんのわずかな隙間もないくらいに頭を真っ白にさせる。
「…健ッ……兄ぃ……」
途切れながら呼ぶ名前が健の耳には今までに聞いたことのない声のトーンで、背伸びしてしがみつくように自分の首に手を絡める仕草が可愛くて、そそられた。
しっかりと蓋をしていた感情が一気に溢れ、次々に押し寄せる彼の理性はぶっ飛んでいく。
ーーーコンコンッ!
「おい。健ー?」
催促するようなノック音に、はぁはぁっと二人して荒い息を溢しながら、うっすらと目を開けて唇を少し離すも、
「わりぃマイク……後にして。」
そう見つめ合ってまた深い口づけに二人は落ちていった。