ハタッ・・と未茉はその時、やっとある事実を思い出したのだ。

「そうだっ!!ユリは翔真の元カノだっ!!!」

「え・・それも今?」
田島が呆れながら指差す未茉に苦笑いをすると、
「まさか・・・忘れてたわけ?こっちは朝からあんたの存在がうざさでしかねーのに。」

「おう!わりぃな!うちら幸せだからな!!」

はっはっは!!と未茉がデレると、ユリにとっても周りにとってもうざさしかなかった・・・。

「桜蘭の女子の監督は先にこっちに来てて今会場の手続き終わったから、もうすぐ来るって。」

体育館で男子に交じりながら軽くウォームアップしてると、田島が女子達にそう言うと、ユリがため息ついたのが見えると、

「大丈夫?」

「翔真…!」
隣にいた翔真がユリの顔色が曇ったのを見逃さずそう優しく声をかけると気にかけてくれたことを嬉しく思うも、

「大丈夫。気が重かったけどなんか白石と話してたらムカついてなんか元気出た。」
「あはははっ。」
皮肉そうに言うも翔真はまた嬉しそうな笑顔を溢すから、
「もー、白石の名前だしたからってそーいう笑顔やめて!」
ユリはバンッ!と翔真の背中を叩いた。

(白石に向けられてる笑顔なのにキュンとしてどうする。…私はマゾか。)
忘れたくても忘れられない葛藤にため息つくユリを見ていた田島は、

「未練はバスケで解消しなよ。」
「田島さん…!」
「言っとくけど男のいざこざでチームワーク乱すのはやめてよ。」
「それは田島さんでしょ。私はそういうのしません。」
「む・・・」
「む・・・」
両者睨み合うも、
「ま、確かに私も男取られても、東京最強女子の座は譲らなかった。」
「そこしかないですもんね。」
「・・・お前・・」
バチバチッと火花を散らしながら睨みあった末、ふんっと鼻息を荒くし練習に戻ってった。