TIPOFF!! #LOVE AUTUMN





『おはよ。未茉!』
『健兄おはよー!!早いね』
朝ーーいつもあたしが起きるよりも早く練習に来てて、
夜ーーあたしがベッドにつく頃、
『ボールの音……?』
ドリブルの音が聞こえて部屋のカーテンを開け窓から見るともうボールすら見えない暗闇の中、家の前で一人で練習していた健兄の姿をあたしは誰よりも知ってる。

『王子で全国出てタイトル取ってくる。』
そう誓って中三の時に家を出たあの後ろ姿も。
いつも誰よりも一番の高みと志を持つ健兄の後ろ姿を追いかけてバスケをし続けたのだから。


「おー分かった。さんきゅー。」
必死なその説得にいつものようにまた子供扱いするようにあやすように頭を撫でるから、
「本当にっ……!」
と未茉は少しムッとした顔をするも、そこにはいつもとは少し違った優しく穏やかな目をした健がいて、

「あ…」
ホッとし、目が合うと未茉の溢れる涙を健は、
「泣き虫だな。」
指で優しく拭っていき、
「昔からか。」
小さい頃からそう慰めてきた面影にコートの上では絶対見せない、愛しそうな目で微笑み見つめてくる。