「なんの話だ?健の左腕……?」

「確かに部屋には行った。健に吐かせたのよ。左腕どうしたんだって。」
「……!?インターハイの時に怪我した手の突き指だから大事を取ってるって王子の監督からは伺ってるが…」
「やっぱり突き指じゃなかったんだな。」
おかしいなと思っていた未茉は納得した。

「本人は隠したがってた。まさかこんなに怪我が長引くとは思ってなかったみたい。今日の相手は強敵千葉だからいざって時は準備してたみたいだけど、出れるわけない。ボール持つのも痛く響くくらいなはずの怪我よ。完治なんてまだまだ先よ。」

「「えっ!?」」
全く気づかなかった工藤監督とマイクは驚きを隠せなかった。
「去年の全国ナンバーワンプレーヤーだし、エースとしての責任感も強いし、周りに動揺させない為に隠してたから工藤監督に相談しなさいって叱ってました。変な誤解させてすみません。」
神崎は軽く頭をさげると、
「そうだったのか……。」

「湊は気づいてたみたいよ。だから試合に出させまいとしてたみたい。」
「そうか…だから翔真あん時…」
試合を思いかえすとマイクは納得する節々が浮かんだ。

「じゃエッチしたとかラブラブとかは全くの嘘?」
「嘘に決まってんだろっ!!誰がお前らみたいなケツの青いガキに手ぇ出すかっ!!!」
ポカッ!!と再び監督は未茉の頭を叩くと、

「なんだ~~~~よかったぁぁぁ~~。」

全身の力が抜けたように未茉は床にしゃがみこむと、
「バカね。そんなに心配だったわけ?」
やれやれと呆れながら神崎もしゃがむと、
「うん。あたしのせいで健兄がこんな年増女とセックスをしてるかと思うと気が気じゃ…」

「こぉらっ・・・このクソガキ・・・。」
更に一発食らうのであった。