予選決勝の朝、未茉は起床時間よりも一時間早く目が覚めた。
それはよく晴れた天気のせいか、静香の大口を開けてかくイビキのせいか・・・

「ぐがぁあああああーーー!!!」

「うるせぇーー!!!」
思わず静香の頭に枕を叩きつけるも、
「むっ・・・グッぐがぁあああああっーーー」
ピクッと一瞬止まるも、再びまた部屋中に地鳴りのようなイビキが響き渡る。

「五時かよ・・・」
くしゃくしゃな髪をかきながら、時計を見るとまだ五時だったが、
「ランニングでも行くかなー。」
よっ!とベッドから降り、部屋を出て迷子防止の為、翔真を付き合わせようと男子の部屋に向かった。


「あ。」

ちょうどその時、ランニングに向かう格好をした健が部屋から出てきて、
「あっ、ちょうどいいところに」
未茉は手を振り名前を呼ぼうとすると、

「そうなの?あはは。」
「だから」
健の後に続いて神崎監督が部屋から親しげに話しながら出てきた。

「あれー?!何やってんの!?」

躊躇いもなく大声で話しかける未茉に、神崎監督は驚いて振り返った。
「し・・白石!?」
「監督おはよーございまぁーすっ!!」
「しっ!」と大声で挨拶する未茉の口をモガッ!と塞がれると、

「かえって怪しまれますよ。」
しれっとしながら健は部屋の鍵を閉めながら言った。
「だってまずいでしょ。こんな早朝から生徒の部屋から出てくるなんて。」
まずった顔をしながらコソッと話す監督に未茉は不思議に思いながら、

「何がマズイの?」
「いいんだよ。ランニングだろ?行くぞ。」
ポンッと未茉の頭を叩きながら健は連れ出すと、
「監督は?行かないの?」
「私は工藤監督のとこに行くから。しっかり走ってきなさい。」
「はぁーい。」

健に軽くアイコンタクトをしながら監督は去っていった。