「なんや・・・それ。」

部屋に戻ってきた未茉に静香はそう怒りを通り越して呆れ返ったのだ。

「なんや帰って来ないと思って心配しとれば湊と観覧車乗ったやなて・・しかも振ったって・・・なんでやねん。」
「てかあの観覧車めっちゃ怖かったぜ!静香も連れてってやるよ!!」
「なんでうちが観覧車なんか乗らなあかんねん!」
「え。こえーからっ!」
あはははっと未茉は笑いながらベッドに再びダイブして寝転がる。

「なんで振ったんや?ユリがいるからか?」
「え?なんでユリが出てくんの?」
「普通に考えれば出てくるやろ。湊のことが好きなんやから。」
「そうなんだ?普通?どっから出てくんの?」

「・・アホちゃうか・・・。振られた湊がそのままユリのとこにいったらお前どうすんねん。」
「いかねーだろ。だってアイツあたしをしつこく好きだってるし。」
「最悪な奴っちゃ・・だからあぐらかいて翔真にお預け食らわせとくちゅーわけかっ!?」
「別にあぐらもお預けもしてねぇーけど。」
ふぁぁあっ……とあくびをしながら答える。

「しとるやんっ!!自分の気持ちでいくら周りを振り回しとると思うとんねん!!」
「たとえ誰を傷つけても自分の気持ちごまかすのは嫌だね。」
「……」
「遠慮したり気を使ったりするのが恋愛ならあたしには向いてないからしたくねぇーな。」

「……なんや。恋愛初心者の癖に変なポリシー持ちやがって。」

「ポリシー?」
もうすでに深夜を過ぎていたので未茉はベッドの中で静香の声を聞きながらウトウトし始め、
「結局、健さん傷つけるのはいややからって湊とは付き合わへんなんて湊の気持ちも健さんの気持ちも考えてみい。」

クウ……と寝息を立て枕に顔を沈めてく未茉に静香はため息つき、
「なんやかんやいうても、健さんのこと好きなんちゃうか?」

なんだかんだ親友として未茉の恋を心配する静香はその寝顔を見ながら布団をかけてあげるのであった。