「話、戻るけど。」
「ん?おお」
「俺は未茉ちゃんと一緒にいる時間も見てきた時間も想ってきた時間も違うのに、健さんと迷うくらい同じ位置に立ててるだけでも今はいいかなと思う。」
健の未茉を尊重する愛し方や見守り方は、敵わない時が悔しいが度々あった。
きっと未茉は過去幾度となく彼に救われてきたのか、守られてきたのかと、思うと彼女が自分を一番に選ばないのにも不思議と納得がいった。
「…でも。」
「ん?」
「だからって負けっぱなしでいるわけじゃないよ。」
「へ?誰に?」
突然何かを宣言し出す翔真に未茉は目をぱちくりしてると、
「未茉ちゃんから俺と付き合いたいって言わせるような男になってみせる。」
「翔真。」
「何?」
「なんでそんなに好きでいてくれんの?」
「しつこいって言ったじゃん。」
「まさかこんなにしつこいとは思わなかったぜ・・・。」
「思い知ってくれていいよ。」
どことなく自信ありげな翔真の笑みに嬉しくもあったが、戸惑った。
ガッタン・・・
「「ん?」」
突然観覧車の動きが止まったのでもう地上に着いたのかと思い、キョロキョロと周りを見渡すも森林しか見えない。
『ただいま、強風の為一時運転を停止しています』
天井のスピーカーから聞こえたアナウンスに
「うそだろっ!?こんな宙吊り状態で強風に曝されるなんてマジ落下ーー」
パニくる未茉の背中を抱き寄せ、
「地上に着くまでキスしてようか。」
「は・・」と言いかける未茉の柔らかな唇を翔真は親指で辿りながら、
「大丈夫。怖くなくなるよ。」
「マジかよ・・」



