TIPOFF!! #LOVE AUTUMN





「健さんも?」

「だからあたしからすんのはお前だけだって前に言ったじゃん!!っーかお前もう急に動くなよ!!急にこの箱ごと落っこちたらどうすんだよ!!」
未茉の脳内では、この箱は強風の中で人間が暴れるとネジが外れてポトッと地上に急落下するんじゃないかとパニックを起こしてるのだ。

そんな彼女の脳内など知るよしもなく翔真はまた中腰になり未茉の腕を引っ張り、
「立つなっつったろっ!!?何して・・・」
未茉を胸の中に抱き寄せると
「やめろぉぉおおっ!!!か・傾いて」
ヒクヒクひきつってると明らかに箱はぶらんっ・・と大きく揺れ傾いていて
「離せ!!翔真戻れよっ!!落ちるっ!!」
「暴れると余計に傾くよ。」
「やめ・・」
顔をあげると、ひどく真面目な顔した翔真と目が合いドキッとして思わず力の入った手を緩めた。


「キスは俺とだけね。」

顔を近づけ乱れる未茉の髪を耳にかけて愛しそうな目で見つめてくるも、珍しく縛るような言い方に驚いた。

「しねーよ。」
そっと手をあて見つめ返すと彼が何を聞きたくて何を言って欲しいのかも伝わってきた。

「…翔真以外としたいって思ったことねぇって言ってるじゃん。」
「うん。」
頷くように瞬きをゆっくり落とす翔真の瞳に全て見抜かれてるようだった。