「普通観覧車って地上のイルミネーションを楽しむような場所だったりするけど、畑と森ばっかで夜は何にも見えないらしいよ。」
昼間子供が楽しむ為の観覧車だと言う。

「おう・・・なんかこん中も所々錆びてるしな、風でギシギシ言ってるし大丈夫か?この観覧車・・・」
別の意味で恐怖を感じる未茉に、
「昨日未茉ちゃん探し回ってる時に見つけたんだ。ポツンと佇む観覧車。」

「へぇー。翔真高いとこ好きなんだ?自分でけぇーのに!」
よいっしょっと深く腰をかけて足を伸ばし笑いながら聞くと、
「でけぇーのにって・・」
「あははっ!」
その無邪気な笑顔に翔真は切り出そうと思ってた話をするタイミングを逃してしまいそうになった。

「二人になれればどこでもよかったんだけどね。」

窓ガラスの遠くの外を眺める翔真の横顔があった。
「そーいや話って何?」

「匠さんから告白されたって聞いた。」

「話はえーな。静香から?」
「いや、健さん。」
「えっ!?健兄!?健兄も知ってたの!?」
「知らないと思ってた方が凄いよ・・・・。」
呆れる翔真にため息つかれながら狭い空間に大きな体を伸ばしながら窮屈そうにこっちを見た。

「どう思ったの?」
「どうもこうも思いもよらなかったっーか。」
「だろうね。」
「断ったよ。匠兄にそういう感情ないもん。兄貴は兄貴。」
「じゃあなんでキスしたの?」
この際だからと翔真の追及は容赦なく続いてくと、思いもよらない返事を返された。

「んー。元気でるかなと思って。」
「元気・・・?そりゃ出るだろうけど・・・。」
問い詰めるはずがあまりにも摩訶不思議な返答に翔真も調子が狂う・・。