「えっ、外行くの?!」
話があるーーと言われ、おんぶされたまま翔真は靴箱から未茉の靴を取りだし、外へ出ていった。
「監視官のマイクさんから逃げられるのは外だけだから。」
「っーか、合宿所閉められちゃうんじゃねーの?」
「大丈夫。裏口の鍵貰ってきた。」
「お前用意周到だな。」
妙に感心するも、知っている場所に行くかのようにどんどん歩き進んでいく翔真。
ユアペースな性格上、彼が目的をもってどこかへ向かうのは珍しいと思っていたが、
「眠・・・」
町外れの合宿所周辺には森林ばかりでたまにポツンとある街灯の灯りが細々しくあるくらいでテンポよく歩く振動と、背中から伝わる心地よい温かさに余計に眠気が誘われ熟睡してしまった頃、
「二名様ですね。」
見知らぬ男の声と急に目蓋からの光が漏れ始めたと同時にどこか冷たい場所に降ろされた感覚に目を開けた。
「はっ!!?」
起きた時には、小さな密室空間にいて地上から浮いていた。
「あはは。おはよ。」
ナイスなリアクションだと笑うのは向かいに座る翔真。
「か・・・観覧車っ!!?」
ベタッと窓に両手と顔ををつけて吐息で曇る窓ガラスから見える景色は、
「真っ暗・・・・。」
「そう、それ。」
景色を見下ろしながら翔真はおかしそうに笑った。



