値札人間

☆☆☆

夕方になって両親が帰る頃、あたしは晩御飯の準備を終わらせていた。


勝手に早退してしまった罪悪感を少しでも埋めるためだった。


「まぁ、美味しそうなカレーライスね! アイリもやればできるじゃない!」


食卓に並んだカレーとサラダを見てお母さんは本当に嬉しそうだ。


その表情を見ていると途端に胸が痛くなる。


「大袈裟だよ。カレーは簡単だもん」


「作ってくれる気持ちが嬉しいんだよ」


お父さんはそう言ってさっそくスプーンを手にしている。


はにかんでその様子を見つめていると、2人の前髪の奥が黒く塗りつぶされているように見えてハッと息を飲んだ。


目をこすり、2人の額へ集中する。


2人の顔が動くたび、サラサラと動く前髪。


その奥に、確かに見えた。


みんなと同じ数字が……。


「嘘でしょ……」


途端に食欲が失せて、体がスッと冷えていくのを感じた。