値札人間

せっかく保険の先生に話を聞いてもらって少し落ち着いていた気持ちが焦り始める。


やっぱりこれは異常だ。


あたしの目が悪いのか、精神が参っているのかわからないけれど、こんなことあるはずがないんだから。


知らずに早足になり、眼科の看板が見えたときには走りだしていた。


眼科へ飛び込んでいくと幸い午前の診療はまだ行っていて、待合室に数人の患者さんが座っているだけだった。


診察券を受付に出し、白いソファに身を沈めるとようやく汗が引いてきた。


しかし、待合室に座っている人も、受付のお姉さんにも数字が見えた。


待合室にいる3人の患者さんはみんな知りあいのようで、小さな声で談笑している。


そこから聞こえ漏れてくる会話は、育てていた花が咲いただの、野良犬に靴を片方持っていかれただの、他愛のないものばかり。


互いの額に書かれている数字に関してはなにも触れていなかった。