値札人間

「イブキ、もう花水は出てないの?」


「今日はすっかり良くなったよ。代わりにみんながマスクしてるみたいだけどね」


教室内でもマスク姿の生徒は半数以上いるようだった。


みんな一体どうしたんだろう?


疑問が浮かんでくるけれど、イブキの体調が回復したのならそれで良かった。


「おっはよーアンリ」


珍しく声をかけてきたのはアマネだった。


絶交してかた1度も会話をしていなかったあたしは、一瞬返事ができなかった。


アマネはねばついた笑みをあたしへ向けている。


急に挨拶してくるなんて、どういう風の吹き回しだろう?


そう思ったけれど、イブキがいる前で無視することはできなかった。


あたしは少し無理をして笑顔を作った。


「おはようアマネ。今日は体調でも悪いの?」


アマネもマスクをつけている1人だったので、ついそう聞いた。


「ううん。鼻水が出てるだけだよ」


「そっか……」