値札人間

あたしはイツミからの言葉を大人しく聞くだけだった。


いくらでも、好きに言えばいい。


言えば言うほど立場が悪くなるのはイツミなんだから。


イツミがあたしを罵倒すると、その分額の数値は減っていく。


ギリギリ1万代をキープしていたその数値はついに9921まで下落した。


口を開けば開くほど、自分の価値を下げているという事実をイツミは気がついていない。


イツミは一通り怒鳴り終わると、肩で大きく深呼吸を繰り返した。


あたしはスカートのポケットに手を入れてスマホを取り出した。


なにかあった時のためにボイスレコーダーをダウンロードしておいたのだ。


今のイツミの言葉は全部録音されている。


「ちょっと……なにそれ……」


イツミが震える声で聞いてくる。


だからあたしは素直に録音していたことを教えてあげた。