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ゴウにはああ言ったけれど、もちろんアマネの家に行く気なんてなかった。


1人で帰路を歩いていると後ろから足音が聞こえてきて振り向いた。


「イツミ?」


「やっほーアンリ!」


以外な人物に足を止め、イツミが追い付くのを待った。


「イツミって家こっちだっけ?」


「ううん。最近オープンしたカフェによろうと思ってぇ」


そう言えば近所にパンケーキがおいしいカフェができたと、地元雑誌で読んだ気がする。


「そうなんだ」


「うん! ねぇ、さっきゴウと何を話してたの?」


その質問にあたしはイツミの表情をうかがった。


「別に怒らないよぉ? アンリはちゃんとしたライバルだって思ってるもん。ゴウがアンリのことが好きなら、あたしはちゃんと諦めるしぃ?」


イツミの言うことは信用できないけれど、少なくとも今あたしに攻撃する気はなさそうだ。