* 「お疲れ、佐山くん」 「お疲れ様っす」 「シュークリーム、 渡せたんだね」 「飯田さんのお陰っす」 飯田さんはそんなそんな、 と言いながら、手を振った。 「いつでも相談に乗るから。 頑張れ、若者」 「ありがとうございます!」 「じゃあ、お先に失礼するね」 あの時、飯田さんが、 竹本に誕生日の話を振らなかったら、 俺のシュークリームの出番はなかった。 わざと俺の前で、 聞こえるように誕生日の話をすることで、 俺は誰かにこっそり あいつの誕生日を聞かず、 プレゼントを渡せたわけだ。