だから、言えない



「ないって。
私と村薗先輩なんて、
つりあわないの分かってるもん」
「確かに、
つり合わなさそうですよねー」

塚尾さんが、バサバサ何でも言うのには
もう慣れた。
なんやかんやで、
2年間も一緒に働いてきたしね。

「ずっと前から
聞きたかったんですけど、
なんで、村薗先輩は、
竹本さんのこと、
《ことちゃん》って
呼ぶんですか?」
「…だって、私の名前は
琴香(ことか)だもん」
「いや、そうじゃなくて、
下の名前で呼ぶのは
なんでですか?
それに、なんで、竹本さんは、
《村薗先輩》って呼ぶんですか?
職場で先輩って、
普通つけないですよね?」
「なんでって言われても…
村薗先輩は私の先輩だし」