だから、言えない



竹本に対するこの気持ちは
急に流れてきたんじゃない。

雪のように少しずつ降り積もって、
気づいたら見上げるほど、
高くなっていた。


「佐山さん、今日は駆けつけてくださって、
ありがとうございました」

竹本がまた抱き締めたくなってしまうような
笑顔いっぱいの顔で、
俺を見上げた。


かわいい……

嬉しい……

無事で安心した……

一緒にいたい……

触りたい……

愛おしい……


こんなに一度にたくさんの感情が、
俺の中に広がるなんて…


~♪
急に大音量でスマホの着信音が鳴り響いた。
誰だよと思ったらうちの専務だ。

電話だ、電話だと呟きながら、
左手にしっかりスマホを握り、
右手の人差し指で力いっぱい
スマホの画面をタップしている。

「うんにゃあ、村薗くんか!」