だから、言えない



後ろを振り返ると、
確かに、窓越しに看護師が
数人俺たちを見ていた。

中庭を横切って歩いていると、
竹本がスマホを取り出した。

「佐山さん、オセロ、しますか?
専務弱すぎて、相手にならないんですよ」
「しねぇよ」

専務のところへ戻ると、
ちょうど検査の結果が出ていて、
異常なしみたいだった。


「うんにゃあ、よかったね、
たけもっちゃん」

専務が竹本の背中をたたいた。

「お騒がせしました」
「ったく…お前はほんと…」

多分、竹本がいなくなったら、
俺の世界は終わる。

今日そう思った。
俺は思ったより、
こいつを必要としているみてぇだ。