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色々あった社員旅行は無事終わり、
俺たち四人の関係は少し変わったけど、
職場はいつも通りだ。
竹本は相変わらず俺に弁当を
作ってきたけど、
さすがにそれは断ろうとした。
彼氏である優の横で、
竹本の作った弁当を食べるのは
気まずい。
「村薗先輩が作ってあげてって
言ったんです。
佐山さんはコンビニばかりで、
体が心配なので、
私も作りたいんです」
竹本にそう言われ、
複雑な気持ちになった。
「いや、竹本さんのまっずい弁当を
食べてる方が体に悪いですよ。
あたしが佐山さんに、
作ってきてあげてもいいですけど?
もちろん、竹本さんのとは
レベルが違うので、
有料ですけどねっ」
と言ったのは塚尾だった。
何の心境の変化なのか、
頼んでもないのに、
次の日から本当に俺に弁当を作ってきた。
優はというと、
抱えていたものがなくなったからか、
前より竹本と親しげに
話すようになった。
「ことちゃん、今度の演奏会はいつなの?」
「え… 優くん、来るの?」
「ん」
「だって、もう音楽とは関わらないって…」
「ことちゃんが吹いてる姿、
久しぶりに見たいなって」
「そ、そんな…」
「村薗くん。
演奏会なら十月にあるよ」
飯田さんがそう言ったから、
俺は驚いた。
「そうなんですね。
飯田さんも出られるんですか?」
「優くん、飯田さんはトロンボーンの
ソロがあるんだよ」
「あはは。
ちょっとしたやつね…」
「それは楽しみです。
じゃあ、見に行くね。
ことちゃん」
その時、初めて知ったけど、
飯田さんと竹本は、
町の吹奏楽団に入っているらしかった。
飯田さんの奥さんも、
同じくそこでクラリネットという楽器を
吹いているらしく、
竹本は飯田家と仲がいいのだとか。
それで、あんなに仲がよかったのかよ。
そりゃ、趣味が一緒なら、
話すことも多いだろうな。



